靴職人 荒井弘史の靴づくり01|伝統製法の本質を守り、これからのwjkの靴づくりを考える。

靴職人 荒井弘史の靴づくり01|伝統製法の本質を守り、これからのwjkの靴づくりを考える。 - wjk

「変わらない本物」を追求するwjkのものづくりは、多くの日本の工場や職人の手によって支えられています。今回お話を伺ったのはwjkがレザーシューズの制作を依頼している職人、荒井弘史さん。伝統的な製法で靴づくりをする荒井さんにwjkの靴づくりについてお話しいただきました。


変わらない価値を共有するつくり手

荒井さんは浅草に自身のデザイン事務所を構え、さまざまな靴を自社の工房や協力工場で製作しています。

 

(「ShoeCare&ShoeOrderRoom FANS.」に並ぶ荒井さんの作品)

 

大量生産の靴はその多くが接着剤で貼り付けただけの簡単なつくりになっており、軽い履き心地のものも多いですが、ほとんどが修理はできずに使い捨てを前提につくられています。

一方、本格的なレザーシューズの多くは「グッドイヤーウェルト」という修理しながら長く履くことのできる製法でつくられており、wjkでリリースしているレザーシューズにもこの手法を採用。作業の一部を機械化しても工程を省くことはせずに、更に上質な革を選ぶことで本物の靴に仕上がります。

 

伝統的な製法での靴づくりを請け負う日本の工場は、その数が年々少なくなってきていますが、wjkが初期に色濃くその影響を受けたイタリアのブランド「CARPE DIEM(カルペ ディエム)」のような、職人自らがデザインをして新しい価値を生み出す「アルチザンブランド」の考え方に共感し、靴づくりに協力してくださっているのが荒井さんです。

 

「本当に質の良い革は数も少ないため当然値段も高くなりますが、一度その良さを知ったら他の靴は履けないというお客さまも多いです」と荒井さん。オーダーメイドシューズを主に請け負う荒井さんの元には、高額でも高品質な革を使った靴を求めるお客さまからの依頼が圧倒的に多いのだそう。

wjkのレザーシューズにもリリースの度に購入してくださる根強いファンの方も多く、荒井さんの手がける靴の持つ不変的な魅力が感じられます。

 

ただ、ここ数年カジュアル化が進んでいるという靴業界。ビジネスシーンでもカジュアルな装いが許容され、コロナ禍によるリモートワーク急増でビジネスシューズを履く機会が減った人も多いはず。プライベートシーンでは、「ラフすぎる」という印象があったサンダルでさえ日常的な履き物として違和感のないものに認識が変わり、デザインも変化してきています。

 

伝統的な製法や質の良い革選びは変わらずに信念を貫きながらも、ニーズやスタイルの変化に合わせていくことも重要だと荒井さんは語ります。

「元々ヨーロッパから伝わった伝統的な製法も、そのままでは日本の生活シーンや日本人の骨格にマッチしない部分もあります。使い手の履き心地に寄り添い変化していく視点も、靴づくりには必要です」

 

「アメリカのブーツなどは革もものすごく硬くて、形も土踏まずなどの凹凸の激しいものが多い。それをそのまま日本に取り入れても、使い手が良さを実感する前に履くことが苦痛になってしまう。本物を伝えるためには、取り入れられる形を研究することも重要だと思っています」

伝統的な製法に引き継がれる本質的な価値を理解した上で、時代やシーン、装う人のことを想い「変わらない価値のために変化し続ける覚悟」への共感が、wjkの靴づくりの根幹にはあります。

 

wjkがリリースする本物のレザーシューズ

wjkが歴代リリースしてきた靴の素材には、希少価値の高い馬革の「コードバン」なども使われてきましたが、今回は初の試みとなるイタリアのグイディ社の「カーフ」を使用。カーフとは仔牛の革のことで、繊維が細かいのが特徴ですが、その中でも大きくて厚みのあるサイズを使用しています。日本やアメリカではキップと呼ばれるサイズです。その中でもグイディ社は、伝統的な手法に基づき唯一無二の魅力的な革をつくるタンナー(革メーカー)です。

 

分厚く硬い成牛の革の力強さと、薄いカーフの柔らかくなめらかな質感を良いとこ取りした性質が大物カーフ(キップ)の魅力で、厚い成牛の革を同じ厚さまで削り漉いたものとは質感も強度も全く違うのだと言います。

 
wjkのルーツであるCDIEMの代表的なモデルS52を彷彿とさせる特徴的なトゥボリュームで仕上げた5ホールのアンクルブーツ。ミリタリーブーツとしての雰囲気は維持しつつ、インサイドにファスナーをセットしユーザビリティを高めている。素材にはイタリア、GUIDI&ROSELLINI社の「VITTERO FIORE」を使用。仔牛の花と称されるカーフレザーは、植物由来のタンニンを時間をかけ染み込ませながらなめす「バケッタ」と呼ばれる伝統的な製法で仕上げられる。きめが細かく、しなやかかつソフトな風合いを待つ。また時間と共に革が柔らかくなり色艶も増していくため、使い込むほどに馴染むのも特徴。

 

こちらのブーツは2014年にリリースしたモデルのリバイバル版。レースアップシューズに、脱ぎ履きのしやすいサイドジップを採用しました。

ファンの方からは、レザーブーツアイテムのリリースを待ち望んだとのお声も多く、荒井さんの靴づくりの魅力を改めて実感させられます。ぜひ下記URLからも商品をご覧いただけたら。



wjkのものづくりへの考えに共感した靴づくりを手がけてくださる荒井弘史さん。次回は荒井さん自身がこだわる靴への探求と「本当に良い革靴だけが持つ2つの魅力」についてご紹介します。

 

 

military ankle boots

¥132,000 TAX IN

wjkのルーツであるCDIEMの代表的なモデルS52を彷彿とさせる特徴的なトゥボリュームで仕上げた5ホールのアンクルブーツ。